一般財団法人 愛の田園振興公社

達人名:一般財団法人 愛の田園振興公社
ジャンル:農業 Agriculture
滋賀県東近江市 Higashiomi-city Shiga

メイン_DSC_2238.JPGメイン_DSC_2238.JPGスクリーンショット(2012-09-26 17.02.46).png

行政、JA、生産者が一体となり、6次産業化の基点となる道の駅を設立

一般財団法人 愛の田園振興公社が運営している道の駅「あいとうマーガレットステーション」は、地域の生産者たちの要望から始まり、行政、JA、生産者が一体となり設立された。施設内にある農産物の直売所「あいとう直売館」は、〝足りないものは地域でつくろう!“をスローガンに、仕入れは一切せず、地域の農家が栽培した農産物のみを販売。年間350品目以上の農産物や加工品が出荷され、売上は7億円を超える。6次産業化の基点となる道の駅は、設立からどのような成長を遂げていったのか関係者に話をうかがった。(2017年1月21日 取材・撮影)

■道の駅あいとうマーガレットステーション
http://www.aito-ms.or.jp/


インタビュー

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行政、JAに届いた
直売所が欲しいという生産者の願い

ph_01.jpg名神高速道路・八日市インターから5キロほど離れた国道307号線沿いにある「道の駅あいとうマーガレットステーション」。 滋賀県、琵琶湖の東側に位置する旧・愛東町(現・東近江市)は、鈴鹿山系から流れ込む水と寒暖差のある気候、恵まれた風土などから果樹の栽培が盛んで、中でもぶどう、梨、メロンが特産物として有名な地域。収穫時期になると生産者はテントを張って農産物を販売していた。品質が良いため毎年のリピーター客も多く、売り上げも見込めることから、生産者たちは販売拠点が欲しいと願っていた。町と地元の農業協同組合(現・JA湖東)は、そういった生産者たちの声に応えようと、農産物の販売拠点づくりを構想。

 ちょうどその頃、建設省(現・国土交通省)が道の駅の整備を推進し、また農林水産省が農業・農村の活性化の取組を推進していたこともあり、農産物の流通、加工、人的交流、観光、情報発信を統括した拠点づくりが実現することになりました」と、当時、愛東町の町長を務めていた柿田仁敏さん。事業母体となる「一般財団法人愛の田園振興公社」は、旧・愛東町、JA湖東、愛東町商工会の出資によって第三セクターとして設立され、責任者に大手スーパーで勤務していた藤関明雄さんが採用された。

100%地元産の農産物を販売

ph_02_DSC_2078.JPG一般財団法人愛の田園振興公社 専務理事で道の駅あいとうマーガレットステーションの館長を務める藤関明雄さん。 1995年に、愛の田園振興公社が運営する「道の駅あいとうマーガレットステーション」がオープン。リニューアルや増設などを行い、現在は、農産物の直売を行うあいとう直売館、地元特産物を使った加工品の製造・販売を行うRapty(ラプティ)、地域の土産品の販売や体験教室を開催する田園生活館、弁当・惣菜などを販売する愛東まるごと食館(商工会が運営)など6つの施設が整った。

 マーガレットステーションの館長となった藤関さんは、100%地元産の農産物を販売することをコンセプトとして掲げた。「なんでも売れる時代は終わりました。競争に勝つには、品質を求める消費者のための直売館を作らなくてはなりません。マーガレットステーションのオープン当初から、町のバックアップで県の普及員を招いて研修会を行ったり、定期的にJAからも農業の技術指導をいただいたりしていました」と藤関さん。

6次産業化をバックアップする機能を兼ね備えた道の駅

ph_03_DSC_2340.JPGぶどう、いちご、ブルーベリーなどを栽培している、農家の松吉貞さんと母のすみ子さん。すみ子さんは、ジャムなどの加工品も製造している。 代々続くぶどう農家に30歳を過ぎて就農した松吉貞さんは、「マーガレットステーションがあったから、サラリーマンを辞めて家業を継ぐ決心がつきました。農産物や加工品を販売する場所があるということはとても大きいこと。新規で栽培を始めたイチゴも、マーガレットステーション内にある加工施設を使って加工品を製造できるのでありがたいです」と話す。

 マーガレットステーションの施設のひとつ「Rapty」は、地元の農産物を使ったジェラートや洋菓子、パンなどを製造・販売している施設。加工室の一部は、予約をすれば生産者も自由に使うことができる。松吉さんの母・すみ子さんは、生産者の女性たちが集まり結成された生活研究グループで、加工室を使ってジャムなどを製造している。「小さな農家というのは孤独と戦いながら農作業をしています。それが、こういうグループでみなさんと一緒にジャムを作れるのは楽しいですし、商品が売れたらとても嬉しいです。明日も頑張ろうという気持になります。マーガレットステーションは、私たちに〝やりがい〟を与えてくれた場所。生きがいになっています」と話す。

生産者の自主性を尊重した運営協議会の存在とJA

ph_04_DSC03619.JPGRaptyの加工施設で、白菜など自慢の農産物を持ち寄り、豚汁イベントの仕込みをする野菜部会のみなさん。  マーガレットステーションに登録している生産者たちは、「あいとう直売運営協議会」を結成。運営協議会は、東近江で生産される農産物で9つのグループに分け、それぞれのグループで協議したことを、2か月に一度開かれる運営協議会で報告。課題を持ち寄って検討したり、新しい会員の入会を審査したりもする。たとえば、生産者がローテーションで直売館の売り場に立ち、消費者に農産物の説明を行う「整理員」も協議会から生まれたシステムのひとつ。整理員は自分が出荷した農産物に限らず消費者から説明を求められるため、知識が必要となり、生産者同士の情報交換のきっかけにもなっている。

 運営協議会の事務局となるJA湖東の代表理事組合長を務める野田敬治さんは、「運営協議会は、マーガレットステーションに登録している247人の生産者が主体です。そして、生産者の意見を集約して、9つの部会の会長、副会長が、積極的に動いていただいています。切磋琢磨して一生懸命に農業をされている皆さんの励みになるような研修を用意したり、運営協議会のフォローをしたりしていくのが事務局の役割です」と話す。

地域の核となる直売所を目指して

ph_05.JPGイギリスの田園風景をイメージしたという三角屋根の建物が特徴のマーガレットステーション。  「マーガレットステーション全体の売り上げは約7億円で、そのうち加工品の売り上げが約1億円になります。天候の理由などで青果の品数が少ない場合には、加工品でカバーしなければならないこともあります。生産者からすると、6次産業化に取り組むには、経験や拠点となる施設がないと難しいものです。まずは、Raptyで商品化されたものを見本として見てもらい、生産者が『自分たちにもできる』と思えたら、加工室を使って6次産業化に取り組んでもらいます。自分の作った野菜や花が、6次産業化で商品になる。それが爆発的に売れたり、美味しいと言われたりしたら、生産者にとっては嬉しいですし、それが一番の幸せだと思います」と藤関さん。

 田園生活館で販売されているドライフラワーは、そうした藤関さんの思いが結実した、マーガレットステーション最初の6次産業化商品だった。今後の展開について、「行政と愛の田園振興公社、そして生産者が一緒になって、地域の核となる直売所を目指していきたい」と藤関さんは話す。

サポーター

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〜ここで働く仲間、外部でサポートしてくれる仲間がいて成り立っている〜

一般財団法人 愛の田園振興公社をサポート

東近江市産業振興部農業水産課フードシステム推進係 副主幹
塚本 明さん

サポーター_004.JPG 東近江市では、現在、「東近江市6次産業化推進戦略プラン」を策定中です(2017年3月中策定予定)。これまでの6次産業化に向けての動きでは、持続可能な農業と農産物の新しい活路と流通システム作りを推進していくために、東近江市と愛の田園振興公社、市内4つの農協、ヤンマーアグリイノベーション(株)が連携し、東近江市フードシステム協議会を2011年に設立。協議会では関係機関と連携しながら、需要の見込める加工・業務用野菜の低コスト実証栽培を実施し、機械化による省力化を促進しています。 販路開拓では、学校給食への導入や商談会への出展など、野菜栽培の拡大に繋げていけるノウハウづくりに取り組んでいます。また、生産者を募り、野菜づくり全般の基礎を学ぶ研修などを実施しており、Iターンで新規就農される方もいます。

達人からのメッセージ

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「前職で大手スーパーで販売をしていた時は、消費者目線で仕事をしてきましたが、マーガレットステーションでは農家目線も考えて仕事をしなければなりません。いかにして農家にたくさんの農産物を出荷してもらい、農家の所得を上げることができるか、この点を常に意識して仕事をしています」
道の駅あいとうマーガレットステーション 館長  藤関明雄さん

一般財団法人 愛の田園振興公社

001 Raptyのジェラート
Raptyの人気商品のジェラートには、地元産の牛乳や米、野菜などが使われ、その種類は季節メニューも含め100種類以上にもなる。たとえば、春は、たけのこ、アスパラガス、よもぎ。夏は、メロン、ひまわり、いんげん豆。秋は、梨、ジャガイモ、なすび。冬は、柿、ゆず、くるみなど。カップかコーンを選ぶことができ、サイズはハーフ、シングル、ダブル、トリプルと4種類。写真は、菜の花、いちご、オレンジのトリプルジェラート(カップ)。

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002 あいとうドーナツ
Raptyの加工室には、米を製粉して米粉にする機械もあり、毎月「0」が付く日には、米粉を使ったあいとうドーナツを販売。開店前から行列ができるほど人気を集めている。

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003  加工品
あいとう直売館には生鮮以外にも、いちご、ぶどう、なしなどを使ったジャムやパン、乾燥野菜、味噌など、生産者が製造した多くの加工品が販売されている。

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004  ドライフラワー
田園生活館のドライフラワーもマーガレットステーションで販売される6次産業化商品のひとつ。愛ラブドライフラワークラブのメンバーが、田畑の一部や休耕地を花畑に変えて花を作り、マーガレットステーション内の工房を使ってドライフラワーを製作している。

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005  レストランマーガレット
マーガレットステーション内にある「レストラン マーガレット」は商工会が運営。料理に使われている野菜は、あいとう直売館から仕入れている。写真は、人気メニューのひとつの「近江牛焼肉とトロロご飯御膳」。

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