世羅高原6次産業ネットワーク

達人名:世羅高原6次産業ネットワーク
ジャンル:農業 Agriculture
広島県世羅郡世羅町 Sera-cho Sera-gun Hiroshima

メイン_DSCF7959.JPGメイン_DSCF7959.JPGスクリーンショット(2012-09-26 17.02.46).png

農業を中心とした6次産業化の実践で、町全体を日本一大きな農村公園に

広島県の「世羅高原6次産業ネットワーク」は、農林漁業者と行政が連携し、地域ぐるみで取り組む6次産業化の先進事例として全国から多くの視察者が訪れている。広域におよぶ6次産業化はなぜ誕生したのか? 農林漁業者と行政はどのように連携し、それぞれの役割を担ったのか? 長年成長し続ける地域のチカラはどのように引き出されたのか? 6次産業化を切り拓いてきた方々に話を聞いた。
※写真は、世羅ブランドのお菓子「Sera-Riz」(せらり)を試食する関係者のみなさん。

■世羅高原6次産業ネットワーク
http://www.serakougen.net/


インタビュー

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広域で6次産業化を推進するメリット

01_DSC_1841.JPG世羅高原6次産業ネットワーク 会長 原田修さん。2014年より世羅高原6次産業ネットワークの6代目会長に就任。全国でも有数の果樹園で、世羅梨(せらなし)のブランド化に大きな貢献を果たした「農事組合法人 世羅幸水農園」の組合長理事も務める。 世羅高原では県営パイロット事業や国営農地開発事業により広大な農地が多く造成されたが、農業で経営安定ができない、近年では高齢化により担い手が不足するなどの課題を抱えていた。そんな、中山間地域の課題を共有する世羅郡3町( 甲山町、世羅町、世羅西町 2004年に合併)は、甲山地域農業改良普及センター(現・尾道農林事務所)の指導を受け、1977年に広島県の「農村地域6次産業推進事業」を共同で導入することを決定。広域で6次産業化を推進するメリットを次のように考えた。

 ①町の垣根を取り外せば、人材・資源・施設を有効に活用できるのではないか。②3町が協力することでイベント等の規模や内容が充実し、消費者の満足も得られやすくなるのではないか。③消費者にとって町の区分は関係なく、世羅郡全体を広域農業公園として考えると、さらに魅力的になるのではないか。PRも世羅高原全体で実施するとより効果的になるのではないか。

「世羅高原6次産業推進協議会」「世羅高原6次産業ネットワーク」の設立

02_DSCF1632.JPG広島県中央部、標高350~500mに位置する世羅高原。世羅郡の旧甲山町・世羅町・世羅西町は、2004年に合併し世羅町となったが、この世羅町一帯を世羅高原と呼ぶ。 翌年の1988年には、3町、広島県、農協で組織された「世羅高原6次産業推進協議会」を設立。世羅町への100万人の集客を目標に掲げ、ブランド商品の開発、世羅高原のイメージ強化、アンテナショップの開設、大型イベントの開催、わかりやすい看板を設置するなどのビジョンを策定した。また、6次産業化の啓発や研修会の開催、推進のための補助事業導入など、地域ぐるみの6次産業化を牽引した。

 そして1999年、6次産業化に意欲的な農園、産直市場、女性による加工グループを中心に「世羅高原6次産業ネットワーク」が設立された。




世羅全体のことを考える意識を会員全員が共有し続ける

03_DSC_1891.JPG世羅高原6次産業ネットワーク副会長/協同組合夢高原市場 専務理事の橋川正治さん。2009年~2013年の5年間は、世羅高原6次産業ネットワークの5代目の会長を務めた。2015年よりグリーンツーリズム部会の部長も兼任している。 世羅高原6次産業ネットワークは、32団体の参加からスタートしたが、現在は72団体にまで増え、6次産業化に関係する売り上げは約22億円にのぼる(2015年)。会員が増えていく過程では、世羅高原全体の向上に意識が向いていない会員も少なからずいた。こういった問題解決も含め、自主的に運営していくために、ネットワークでは、イベント部会、郷土料理部会など6つの部会を作り、会員を必ずどこかの部会に所属させ、具体的に地域のことを考える機会を与えた。また、5代目の会長を務めた橋川正治さんは、「ネットワーク参加にあたっては面接をして〝世羅全体を元気にしたい〞という意識を共有するようにしていました。」と話す。




3つの新たな基盤構築

04_DSCF9517.JPG2006年には、世羅高原6次産業ネットワークの拠点施設となる夢高原市場がオープン。ネットワーク会員による対面販売や隣接するワイナリーのレストランへの食材提供も行われている。  地域ぐるみの6次産業化が成熟していく中、ネットワークは新ビジョン「日本一大きく美しく豊かな農村公園をめざして」を策定し、2009年に世羅町長に提案書を提出。長期滞在型施設が不足していること、観光情報が統一されていないことなど一年間をかけ抽出した課題を踏まえ、今後の事業展開を提案した。

 ネットワークの構成も見直し、6つの部会をグリーンツーリズム、世羅ブランド開発、企画情報発信と3つに集約。新たな基盤構築を進めている。一方、提案を受けた世羅町は、全町農村公園化を目指す取組を通じて、ソフト・ハードの両面から住民の生活基盤を強固なものとする仕組を確立したいと回答し、2010年度から、就農希望の若者に対して毎月15万円を支給する制度をスタートさせている。


6次産業化に生きがいを見出した女性たちのチカラ

05_DSC_2043.JPG協同組合 夢高原市場 理事長/世羅高原6次産業ネットワーク理事/世羅生活研究グループ会長 佐古淳子さん。農事組合法人太平牧場を経営。300頭の乳牛を飼育しながら、無添加・無着色のハム・ベーコンの製造・販売も行う。  夢高原市場の理事長・佐古淳子さんは、長年継続し、成長を続けた世羅高原の6次産業化について、「キーワードは女性のチカラだと思います」と話す。「この地域では30年以上も前から、女性たちによる農産物の加工が盛んに行われてきました。作ったものが売れる喜びもありましたが、仲間で集まり家族や地域のことを話し、困っている人がいれば手を差し伸べる。女性たちにとって6次産業化はそんなコミュニケーションの場であり、やりがいや生きがいにもなっているのではないでしょうか」と佐古さん。






観光協会や商工会議所など、異業種との連携も視野に

06_DSC_1848.JPG右から、事務局長でグリーンツーリズム部会をサポートする折重りつ子さん、企画・情報発信の責任者で、「世羅高原カメラ女子旅」主宰の吉宗五十鈴さん、世羅ブランド開発部会をサポートする橘高知栄さん。  また、ネットワークの3つの部会をサポートするため3名の女性が採用された。その一人である吉宗五十鈴さんが主宰する「世羅高原カメラ女子旅」は、写真家の先生とともに撮影を楽しみ、農家民宿に宿泊する。撮影の合間には体験メニューも盛り込まれたグリーンツーリズム企画で、全国からカメラ好きの女性が参加。世羅の魅力を全国に発信するツールとして、また地域への滞在時間を増やす取組として貢献している。

 世羅町では、2017年2月に「世羅町6次産業化戦略」が策定されたところである。今後の世羅高原の6次産業化について、世羅高原6次産業ネットワーク会長の原田修さんは「協議会、行政との連携は引き続き行っていますが、一方で、事務局が町の役場から夢高原市場に移行していることから、独自の運営体制の強化を求められています。これまで農業者だけで推進してきたネットワークの活動でしたが、豊かな農村公園づくりのためにも、観光協会や商工会議所など、異業種との連携も図っていきたいと考えています」と話す。


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達人からのメッセージ

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「それぞれの地域で、女性たちが取り組んでいた小さな6次産業化があったから、現在の世羅高原の6次産業化があるのだと思います。キメ細やかな商品作りや、柔軟な発想や対応力は女性ならでは。世羅の女性たちのチカラは大きいです」
世羅高原6次産業ネットワーク会長 原田修さん


世羅高原6次産業ネットワーク

001 世羅っとした梨 ランニングウォーター
ネットワーク事務局と地元の世羅高校とタイアップして作った梨ジュース「世羅っとした梨 ランニングウォーター」は、年間10万本を超えるヒット商品。売上の一部は世羅高校陸上部へ寄附される。

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「Sera-Riz」は、パティシエの講習を受けたお母さんたちが本格的に開発に取り組んだ6次産業化の商品。地元のお米とぶどう、ワインを贅沢に使った手作りのバターサンドで、世羅のブランド力の向上を目指している。

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