株式会社 寺田農園

達人名:寺田真由美さん Mayumi Terada
    株式会社 寺田農園 代表取締役
ジャンル:農業 Agriculture
岐阜県高山市  Takayama-city Gifu

メイン_DSC_1361.JPGメイン_DSC_1361.JPGスクリーンショット(2012-09-26 17.02.46).png

比較して飲むトマト―ジュースで消費者が自分好みの味を見つける楽しさを

代表を務める寺田真由美さんは結婚を機に1997年に就農。ホテル業界からの転身で農業初心者だったが、農家に嫁いだ農業初心者メンバーでグループを作り勉強を重ね、就農6年目にはメロン栽培を担当。2005年には岐阜県知事賞を受賞するまで農家としての力をつけた。2010年には夫の正樹さんと共に法人を設立。「これからは女性も前に」という正樹さんの意向もあり、代表取締役に就任。自家ブランド「庄兵衛(しょうべえ)」を立ち上げ、6次産業化を展開している。
写真は、寺田真由美さんと義理の両親。トマト栽培のハウス53棟は、家族も含め6人で担当しているが、最盛期にはスタッフ全員で収穫する。
(2016年7月19日 取材・撮影/RPI)

■株式会社寺田農園
http://www.terada-nouen.co.jp/


インタビュー

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観光地のアンテナショップで飲み比べセットを販売

01_DSC_1402.JPG高山市にあるアンテナショップ「庄兵衛さん家のとまじゅう」では、トマトジュースの販売だけではなく、カフェコーナーを併設。 岐阜県高山市は、ホウレンソウやトマトの生産が盛んな地域。寒暖の差が激しく、清涼な水と空気と良質な土に育まれた地で、寺田農園は代々農業を営んでいたが、2010年に法人化とともに加工場を新設。トマトをメインに栽培して、ジュースやピューレなどに加工・販売する6次産業化を展開している。2014年4月には、飛騨の小京都とも呼ばれる高山市内に直営のアンテナショップ「庄兵衛さん家のとまじゅう」をオープン。国内外を問わず観光客が訪れ、店内のカフェコーナーでは、無添加のトマトジュースの飲み比べセットなどを楽しんでいる姿が見られる。

 「トマトジュースは、トマトの種類の中でも、桃太郎、フルティカ、ピッコラルージュを原材料としています。最初は3種類のトマトをブレンドした商品を開発しましたが、味を安定させるのが難しく、混ぜずに3種類それぞれのトマトジュースをシンプルに提供しようと思ったんです。そうすると、お客様側からしてみれば、自分好みのトマトジュースを見つける楽しさがあることに気が付きました。このため、アンテナショップで3種類のトマトジュースの味を比較できる飲み比べセット(有料)を用意しています。召し上がっていただいた後に、気に入ったトマトジュースを求められるお客様が多くいらっしゃいますね。たとえば、甘味・酸味・旨味のすべてを兼ね備えた味わいのミニトマトのピッコラルージュを使用した『うたてぇ』は、お子様に人気が高く、子供を持つ主婦の方々が求められることが多いです」と、寺田農園代表の寺田真由美さんは話す。

スタッフから寄せられる意見を
消費者の声として耳を傾ける

02_DSC_7125.JPG飛騨高山のトマトの旬は8~10月。旬の時期に樹で熟した真っ赤なトマトには、トマト本来の味と栄養がたっぷりと詰まっている。 寺田さんがトマトジュースを作り始めたのは、規格外のトマトがもったいないからという理由からだった。「共同で使用できる地域の作業場でトマトジュースを作り、これを親戚やご近所の方におすそ分けして飲んでもらっているうちに、『美味しい』という評価をいただき、いつか商品にして事業にしたいという思いが湧いてきました」と寺田さん。 そして、2010年に法人を設立し、寺田農園の本格的なトマトの加工商品開発が始まった。

 作った商品をどのように売っていくか。消費者ニーズをどのようにとらえるか。寺田さんは、まず自社スタッフや近所の人たちなど、身近な人たちに商品を試飲・試食してもらいマーケティングを行った。「パートも含め寺田農園にはスタッフが15名在籍しています。彼女らは、たとえば生鮮品の販売でも、ひと袋に詰めるトマトの理想の個数、大きさ、そして規格の基準についても主婦目線の意見を寄せてくれます」と寺田さん。また、スタッフとの会話の中から、寺田さんは「美味しい」「また食べたい」と思わせる商品は、クチコミの中から生まれていくことにも気が付いた。「自分たちで行うPRも必要ですが、第三者が『美味しいよ』と言ってくれる声は、明らかに説得力が違うと感じました」。

消費者に届くPR方法も女性ならではの感覚で

03_DSC_1324.JPG社内では、売る側の立場、作る側の立場から活発な意見交換も。「美味しいものを食べてもらいたい気持ちは一緒で、そこがもっとうまくいけば、会社として強くなると思います」と寺田さん。 そして、寺田さんが考えついたのが美容院でトマトジュースを提供してもらうことだった。「美容師さんがお客様との会話の中で、『ここの農園のトマトは美味しいよ』とお話いただいた時のお客様の反応に期待しました。それに、美容院で雑誌を読んでいると、物欲や美意識が必然的に高まりますよね。待ち時間にトマトジュースを出されたら、よほど嫌いでない限り、モノ珍しさに飲んでいただけるかもしれません。

 また、スーパーマーケットや飲食店にトマトジュースがあるのは当たり前ですが、トマトを食べることを〝美容〟ととらえたら、お客様が美容院でトマトと出会うのもありなのかな、と思いました。商品化をスタートさせた当時のことで、過去の話になりますが、お客様から好評を得たことを美容師さんからうかがい、自信につながりました」と寺田さん。女性目線ならではの商品PRといえるだろう。口コミは広がり、最近では、飛騨高山の特産品として、結婚式の引き出物にも使われるようになった。

最初はロット数を抑えラベルも手書きで

04.JPG「とまじゅう」と書かれた印象的なパッケージのロゴは、書道が趣味の寺田さんが書いたもの。驚くことに最初はすべて手書きして販売していたという。 「どの商品も最初は売れるかどうかの確証がないため、手書きでラベルを作って、数量を少なくして売り出します。お客様の反応を見てから、継続販売に自信を持てた段階で手書きを印刷にし、ロット数を切り替えています。明確な基準は特にありませんが、あえていうなら、お客様の手応えとか、自分が思っていたよりも早く売れたというのを肌で感じた時がそうかもしれません」と寺田さん。岐阜県内で行われているマルシェなどイベントにも積極的に出展し、対面販売で消費者の反応を、自分自身で確かめている。




自然と食育をテーマにしたワークショップで消費者の声を聞く

05.JPG子供を対象にしたトマト収穫やピッツァ作りのワークショップを開催。 「自然と食育」を通じて消費者との接点を確保するなど、消費者の目線に立つ工夫を続けている。 寺田農園では食育にも取り組み、子供連れの家族によるトマトの収穫体験やトマトの試食会などを盛り込んだワークショップを開催している。「中には、トマトが嫌いだったお子さんがトマトを食べられるようになったケースもあるんですよ。でも、食育は子供だけではなく、お父さん、お母さんたちに向けてのものでもあります。実は、私は料理が苦手なのですが、そこから使い勝手のいい加工品があったらと思うようになりました。たとえば、自社の商品を試してみて、カレーのお水の代わりにトマトジュースを使うレシピを提案しました。共稼ぎが多い世の中で、家庭の食卓がラクに、美味しい食事で満たされるよう願っています」と寺田さんは話す。

 寺田さん自身もひとりの子供を持つ母親だが、スタッフやワークショップに参加する主婦の意見をヒアリングしているうちに、「安全・安心」な食品を子供たちに食べさせたいという消費者の思いを改めて実感した。トマトの栽培では、自家製の堆肥を使用したり、減農薬に取り組むなど、寺田農園では「安全・安心」の農産物の生産に努めている。

達人からのメッセージ

メッセージ_DSC_1356.JPG
自分ひとりでなんとかしようとせず、わからないこと、困ったことがあれば、まわりの人に聞いたり、頼ったりすることも大事だと思います。

株式会社 寺田農園

001 「うんまぃ」「ごっつぉ」「うたてぇ」
寺田農園のトマトジュース「うんまぃ」「ごっつぉ」「うたてぇ」の3種類は、それぞれ飛騨弁で「おいしい」「ごちそう」「最上級の感謝」を意味する。3商品の特徴は、「うんまぃ」は酸味と甘味のバランスのよい大玉の桃太郎を使ったすっきりとした味わいのスタンダードなトマトジュース。「ごっつぉ」は糖度が高く、旨みが凝縮されたフルーツトマトのフルティカを使用。甘味と酸味のバランスのよい滑らかな味。「うたてぇ」は、甘味・酸味・旨味のすべてを兼ね備えたミニトマトのピッコラルージュを使った味わいが深く、濃厚でリッチなトマトジュース。

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002 完熟トマトピューレ
トマトジュースに次ぐ人気商品の「完熟トマトピューレ」。トマトベースのパスタに、ピザソースに、オムレツのソースとして、また、ビーフシチューの隠し味としてもおすすめ。

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