平塚市漁業協同組合

達人名:伏黒 哲司さん Tetsuji Fushikuro
    平塚市漁業協同組合 総務主任
ジャンル:漁業 Fishery
神奈川県平塚市  Hiratsuka-city Kanagawa

メイン.jpgメイン.jpgスクリーンショット(2012-09-26 17.02.46).png

2014年4月、平塚市漁協の敷地内に
平塚の魚を利用した飲食店兼加工場「平塚漁港の食堂」がオープン。
連日長蛇の列ができる大人気の秘密は!?

富山県山間部出身の伏黒哲司さんは、大学進学をきっかけに平塚に居住。大学時代はライフセーバーとして活動し、漁協に声をかけられて就職。漁協としての活動は2010年から「おいしい地どれ魚の普及キャンペーン大作戦」を開始。2013年に六次産業化・地産地消法に基づく総合化事業計画の認定を受け、2014年に平塚市千石河岸の漁協所有地に「平塚漁港の食堂」をオープンした。漁業者の課題解決・収入アップを目指し、多様な取り組みを展開中。(2016年8月4日 取材・撮影/RPI)

■平塚市漁業協同組合
http://www.jf-hiratsuka.org/


インタビュー

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おいしい魚が獲れるのに、市民も知らない平塚漁港

ブロック1.jpgブロック1.jpg夜中1時過ぎに出船し、平塚の港に戻るのは3時ごろ。この日水揚げされたのは、ワカシ(ブリの幼魚)やサバ。 相模湾の中央に位置する神奈川県平塚市・平塚漁港。サバやアジ、イワシなどの定置網漁業、シラス船曳網漁業や、ヒラメ、イセエビを獲る刺し網漁業が盛んで、豊富な水揚げ高を誇る。しかし、平塚市漁業協同組合の伏黒哲司さんによると、「漁港があることを市民が知らないんです」。昔はにぎわっていた平塚の魚市場だが、魚屋が減って活気が失せ、魚価は低迷。平塚の定置網漁業の漁業者は、漁獲量のうち8割を横浜や小田原の魚市場に出荷しており、漁協では地域産業の衰退に危機感を覚えていたという。

 市民に魚を食べてもらいたいと考えた伏黒さんは、「魚をさばけないから食べない」という周囲の声を聞き、「ビーチdeさばき方教室」を企画。30~40代の若い層を狙った。しかし、参加者は楽しんでくれたが、魚の消費には結びつかなかった。これではただの自己満足ではないかと、伏黒さんは悩んだという。





直売所で漁師自身が販売!地魚を消費者に直接PR

ブロック2.jpg両端が須賀湊の燻し魚(燻製)、中2つが、シイラ燻製(ソフト)380円(40ℊ)。平塚市・神奈川県水産技術センター・平塚漁協・加工業者が連携して開発した6次化商品。風味抜群。 定置網漁業の漁師たちは県水産課のアドバイスを受け、大型農産物直売所で朝どれ鮮魚の販売を始め、新たな収入を確保できた。他の漁業種の漁師からの要望で、シラス船曳網漁業・刺し網漁業・遊漁船業のメンバーも加わり、平塚新港荷さばき施設での「地どれ魚直売会」が2011年に始まった。いけすの中で生きた魚を見て選べるのがおもしろいと話題を呼び、釣り客からファミリー層まで訪れて賑わい、売り上げは3年間で4割増加したという。
 「漁師さんたちは、消費者に直売会で買った魚の料理写真を携帯で見せてもらったり、おいしい食べ方を聞かれたりして、対面販売でのモチベーションが上がったようです」と伏黒さん。消費者と直に接することで、鮮度管理の意識もさらに向上した。消費者からの魚の疑問に答えようと「日本さかな検定」の勉強をする漁師もいるそうだ。

 伏黒さんたちは、消費者に魚を直接食べてもらうきっかけになればという思いで、キッチンカーを導入し、イベントにも積極的に出動する。カタクチイワシなどの小魚と米粉をイカ焼きマシンでプレスした「お魚せんべい」は、「子どもに食べさせたい」と主婦層に大人気。漁獲量の多いサバの竜田揚げなどの新メニューでも地魚をPRしている。
 JA湘南の魚コーナーには鮮魚のみならず、干物や燻製も並ぶ。魚を県外からまとめて仕入れていた地元の干物加工業者を「地場産の魚にこだわった商品を」と伏黒さんが説得。地魚の干物が誕生した。また、地元の燻製屋と消費者の認知度が低いシイラを商品化。一般的には流通しにくいマイナーな魚種が活用されている。

休日は100人待ち!大成功の平塚漁港の食堂

ブロック3.jpg多数のメディア取材を受けた「平塚漁港の食堂」。 「市民にもっと魚に親しんでもらうために、加工施設を作りませんか」 漁師と直接取引し、平塚市内で飲食事業を展開していた「(株)ロコロジ」の代表取締役・常盤嘉三郎さんからある日、漁協にそんな提案があった。それなら飲食店も併せて作りましょう、と話がとんとん拍子に進んだという。漁協が所有する敷地を活用して飲食店兼加工場を展開すれば、漁師の販路拡大・収入増につながる。また、人が大勢集まれば、周辺の干物屋や鰹節屋、他業種店など、みんなが潤うことが期待できる。

 「平塚漁港で水揚げされる魚の販路拡大と新商品開発による地産地消促進事業」が六次産業化・地産地消法に基づく総合化事業計画の認定を受け、多数のメディア取材を受けた「平塚漁港の食堂」。地元の人が気軽に通える価格帯で朝どれ鮮魚を提供し、常に盛況だ。ランチタイムだけで平日150人、週末は250人ほどが訪れる。

「ひらつかタマ三郎」で周辺地域の活性化を狙う

きゃらくたー.jpgきゃらくたー.jpg「ひらつかタマ三郎」は、東海大学教養学部芸術学科デザイン課程の研究室と平塚市漁業協同組合とのコラボレーション企画で考案された平塚の漁業を応援するPRキャラクター。 平塚市漁協では、JA湘南のお客さんから鮮魚の名前について問い合わせがあったことをヒントに、平塚漁港で獲れる魚122匹の写真と名前を一覧にしたシートを作成。このシートは、消費者とのコミュニケーションツールとして役立ち、飲食店からは「この魚が獲れたら欲しい」と、客のニーズを踏まえたリクエストがあるという。

 また、「須賀さんぽ!」という地図を作り、食堂でも配布している。お客さんが待ち時間に周辺を散策し、地域を知ってもらうとともに、地域全体に経済効果をもたらすことが狙いだ。また、食堂の一人勝ちではなく、地域一体となって活性化を図るために誕生した、平塚漁業のPRキャラクター「ひらつかタマ三郎」が参加するイベントも目白押しだ。直売会・市役所・東海大学などをはじめ、東京都中央区築地で行われた全日本さば連合会主催の「鯖ナイトFeat平塚」や「湘南ひらつか七夕まつり」「ひらつかタマ三郎周遊船」などに出没し、漁業を熱くPRしている。
 「まずは26万人の平塚市民に魚を知ってもらいたい。さらに、住民以外の方にも平塚は魚がおいしい、ここに来たら楽しそうだと思ってもらいたいですね」と伏黒さんは言う。「六次産業化・地産地消法に基づく総合化事業計画の認定で補助金や助成金を使うメリットもありますが、行政の後押しで平塚の魚の認知度が上がったことにより、多くの人に応援してもらうメリットが大きいです。何事にも一歩踏み込んでトライすべきですね」

サポーター

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〜ここで働く仲間、外部でサポートしてくれる仲間がいて成り立っている〜

平塚市漁業協同組合と共に6次産業化に取り組む仲間たち

株式会社ロコロジ 代表取締役  
常盤 嘉三郎 さん

市民が気軽に通える地魚がおいしい店で
地域を応援し、平塚の活性化を促す

サポ1.jpg 「老若男女問わず、だれでも行ける食堂を港のそばでやろう」と漁協にもちかけ、実現したのが平塚漁港の食堂です。近隣の方が日常的にランチに行ける価格・サービスを目指しています。この店の醍醐味は、鮮度の良さが味に出るイワシやアジを召し上がっていただけることです。今後はテイクアウトの惣菜なども充実させ、お店に食べに来なくても、刺身やフライなどを食卓に持って帰れるような方向性も強化していきたいですね。おいしいのに、大きさや見た目の問題で扱いが難しい魚の活用という命題にも取り組んでいきます。

平塚漁港の食堂 料理長
及川 貴文 さん

一番人気は限定15食の日替わり定食。
6~8種類の朝どれ鮮魚の刺身が魅力。

サポ2.jpg 都内の料理店勤務時代に通っていた築地の市場では見たこともないような魚が平塚には多く、毎日漁師さんに聞いて、慣れるまで大変でした。
 看板メニューの「おまかせ刺盛膳」には、刺身5点、フライ2点がついてボリュームがあり、1,580円。多いときで100食出ます。深海魚のシマガツオを煮たり焼いたり、他店ではお金を出しても食べられないような珍しい魚種も扱うことで、お客さまに喜んでいただいています。

JA湘南 あさつゆ広場 店長
久留主 誠 さん

売上に占める魚の割合は年間15%ほど。
魚を目当てに毎日訪れる常連客も!

サポ3.jpg 6年前のオープン当初から、鮮魚を扱っています。県下の大きいファーマーズのなかで毎日鮮魚を扱ったのは、うちが最初でした。「1袋の量が多いので半分くらいの大きさに」など、お客さんのリクエストを漁師さんに伝えると、すぐに対応してくれます。どうやって食べたらおいしいかなど、魚の知識は漁師さんから教えてもらいます。キープした棚を充実させるために、干物などの加工品の提供も漁協に提案しました。メールアドレスを登録したお客さんには朝どれ魚の情報が送信されますので、それを見て朝から並んでくださる方もいて嬉しいですね。

達人からのメッセージ

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「六次産業化・地産地消法に基づく総合化事業計画の認定で補助金や助成金を使うメリットもありますが、行政の後押しで平塚の魚の認知度が上がったことにより、多くの人に応援してもらうメリットが大きいです。何事にも一歩踏み込んでトライすべきですね

平塚市漁業協同組合

001 特刺定食
刺身6種(24切れ)に「小鉢・香の物・みそ汁・ごはん」でボリューム満点!

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002 須賀湊の燻し魚(燻製)
シイラ燻製(ソフト)(40g)
平塚市・神奈川県水産技術センター・平塚漁協・加工業者が連携して開発した6次化商品。風味抜群。

商品2.jpg

ソウダカツオ燻製(40g)
塩漬魚に利用されるソウダカツオを燻製にし、コクを引き立たせ、スパイシーに。お酒にもよく合う。

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サバみりん干し(2枚)
平塚の漁師たちが水揚げした、鮮魚として流通可能な魚を使用し、地元干物加工専門店が丁寧に加工。

商品4.jpg

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