ファンド出資先の取組事例

メイン_2974.jpgおおのミルク工房

 01おおのミルク工房

main_DSC_3163_R.jpgあおもり海山

 02あおもり海山

メイン写真.jpgJ−ACEひびき

 03J−ACE ひびき

main_620C9968.JPGアグリゲート東北

 04アグリゲート東北

620C1925.JPGひこま豚

 05ひこま豚




株式会社あおもり海山

ジャンル:漁業 Fishery
青森県西津軽郡深浦町   Fukaura-machi Nishi-Tsugaru-gun Aomori

main_DSC_3163_R.jpgスクリーンショット(2012-09-26 17.02.46).png

ファンドを活用したマグロ加工センター建設で広がる可能性

 青森県で、大型定置網漁業と土木建設業を営む株式会社ホリエイの堀内精二さん(51)は、2013年8月に水産物の加工・販売を事業とする株式会社あおもり海山を設立。ファンドを活用して、本マグロを加工・冷凍保管できるマグロ加工センターを建設して、通年供給を可能にしていこうとしている。ファンドの活用にあたり社長の堀内さんは、「サブファンドの方たちからは、1次産業者の私達が、どれだけのやる気を持って取り組もうとしている6次産業化なのか、数字では見えない部分も評価されたのではないでしょうか」と話す。建設予定のマグロ加工センターには直売所も併設し、消費者に人気の高いマグロ解体ショーの開催も予定している。建設予定地の隣では、ふかうら雪人参などを扱う農産物加工場が稼働しており、農業と漁業の6次産業化発信地に、過疎化が進む地域の産業振興の期待がかかる。
(2014年6月19日 取材・撮影/RPI)

【会社概要】
株式会社あおもり海山
設立:2013年8月
所在地:青森県西津軽郡深浦町大字岩崎字松原193-2
資本金:10,050万円
代表取締役:堀内精二
出資者・出資額:株式会社ホリエイ 8,000万円/株式会社エー・ピーカンパニー 2,000万円/とうほくのみらい応援ファンド※ 1億円 (合計 2億円)

株式会社あおもり海山
http://www.aomorikaisan.co.jp/

※「とうほくのみらい応援ファンド」
平成25年6月に設立。生産から加工、流通、販売までを総合的かつ有機的に結び付けるネットワーク構築をサポートしている。出資者は、㈱荘内銀行、㈱東北銀行、㈱北都銀行、㈱みちのく銀行、㈱みずほ銀行、みずほキャピタル㈱、㈱農林漁業成長産業化支援機構。

インタビュー

青森県内水揚げ高ナンバーワンの本マグロを抱えても、
今までの漁業では成立しなくなる

01ブロック_DSC_3223_R.jpg株式会社あおもり海山 代表取締役 堀内精二さん(51)。あおもり海山の運営母体となる株式会社ホリエイの社長も兼任する。 青森県の西部、日本海に面した深浦町では大型定置網漁で本マグロが大量に漁獲される。水揚げ量は年間で約450トン、金額にすると約6億3千万円。漁獲量では青森県下ナンバーワンを誇る。しかし、大量に水揚げされると魚価が下がり廃棄されることも。「これまで生鮮で売れていたので、加工や冷凍施設の必要性を感じませんでしたが、昨今は資源が少なくなってきている上に、魚価も安くなってきています。今まで通りの経営では漁業は成り立たなくなるでしょう」と話すのは、あおもり海山代表の堀内さん。

 堀内さんは、大型定置網漁業と土木建設業を営む株式会社ホリエイの代表も務めている。これまでの漁業スタイルから転換を図ろうと、水産物の加工・販売を事業とする株式会社あおもり海山を2013年8月に設立し、ファンドを活用して直売所を併設したマグロ加工センターの建設を予定している。マグロ加工センターでは、5月~8月の4カ月間に水揚げされる本マグロを加工・冷凍保管することができ、通年供給が可能となる。「貴重な水産資源の本マグロのすべての部位を活用して、刺身以外の新たな食べ方を提案していきたい」と話す堀内さんだが、その先に見据えているのは地域産業の振興だ。

過疎化が進む町への危惧と、漁業底上げのための取組

02ブロック_野呂さん1_R.jpg株式会社あおもり海山 取締役営業本部長 野呂英樹さん(30)。東京海洋大学院卒業後、青森県庁に入庁。かねてから国内漁業の問題・改善を意識していたところ堀内さんと出会う。 堀内さんの考えに共感し、青森県庁からあおもり海山に転職したのが野呂英樹さん。県職員時代に県内の漁業調査を行い普及員も務めた経験から、「深浦の漁業を底上げしながら、将来的には県内の他の漁協・漁師さんとも連携していけたらと思っています」と抱負を語る。その思いの背景には、「自然豊かで、いい漁場があっても、それを伝えていく産業を作っていかないと町は衰退してしまいます。今、何とかしないと、この町に住めなくなってしまいます」と、過疎化が進む町への危惧があった。

 あおもり海山はホリエイと連携した事業内容で、六次産業化・地産地消法に基づく総合化事業計画を作成し認定を受けた。そして、生産者のホリエイが今春から始めたのが、漁獲直後に本マグロの血抜き、内臓除去、神経抜きまでを行う船上処理で、技術指導には、あおもり海山の野呂さんが当たっている。「定置網漁船で、ここまで処理にこだわっている船は、日本でも今は他にないと思います。この処理を施すことで魚の臭みがなくなり、新鮮な身を維持できます。また、漁師さんたちの間にも、品質のいいものを出荷していこうという意識改革が浸透しています」と話す。野呂さんはこの他、冷凍加工の試験データを収集したり、販路開拓の窓口も担当、堀内さんの右腕として奮闘している。

「マグロは大間だけじゃない!」を合言葉に
地域をあげて深浦マグロのブランド化をバックアップ!

03ブロック_DSC_3268_R.jpg当初の売上目標1万5千食を大幅に上回り、4万食を突破するヒット商品となった「深浦マグステ丼」。 「本マグロといえば、大間のマグロが有名ですが、水揚げ量では深浦が大間の3倍。でも価格では大間の3分の1しかありません。まずは知名度を上げ、『深浦マグロ』のブランド化を図り、魚価を上げていきたい」と話す堀内さん。地域産業活性化の起爆剤となる深浦マグロのブランド化は、深浦町役場の戦略事業室や商工会も巻き込み、町をあげての取組となっている。そして、深浦マグロ料理推進協議会主催により2013年6月から始まったのが、深浦マグロを使ったご当地グルメの展開だ。

 町内7つの飲食店で、新鮮なマグロを刺身、片面焼き、両面焼きにして3種類のタレをつけご飯にのせて食べる「深浦マグステ丼」(全店共通1,350円税込)の提供をスタートさせた。これが1年間で4万食を突破! 経済効果は2億2千万円にも達し、9割が町外からの客で観光客誘致の大きな布石となった。深浦マグロ料理推進協議会では今後、関連商品の発売やイベントを企画。一過性に終わらせないようブランド化を進めていく。

数字で見えないものも評価してくれたサブファンド

04ブロック_DSC_2814_00086_R.jpg水産卸・小売事業を展開する魚力45店舗で「深浦フェア」を開催。地元漁師も接客にあたり、駆け付けた堀内社長も顧客の反応に手応えを感じた。 深浦町の漁業者が漁獲した本マグロは漁協を通じ流通していく。ホリエイも例外でなく、水揚げした魚はすべて漁協にいったん納められ、ホリエイは他の仲買人と同様、公正に入札を行っている。新深浦町漁業協同組合の福沢さんは、ホリエイ、あおもり海山の6次産業化への取組について、「深浦町全体の漁業と本マグロの品質を底上げしてくれるもの」と期待を寄せている。漁協との関係も良好のようだ。

 そして、あおもり海山とホリエイが進める6次産業化は、ファンド関係者にはどう映ったのか? ファンドの活用にあたり堀内さんは、「サブファンドの方たちからは、1次産業者の私達が、どれだけのやる気を持って取り組もうとしている6次産業化なのか、数字では見えない部分も評価されたのではないでしょうか」と話す。出資決定後について、堀内さんは「信用力が全然違います。特に営業の場面で手応えを感じます」と話す。一方、サブファンドの担当者は、漁業の基本を学び、定置網船に乗船し漁の現場も見学、販路開拓先として、水産卸・小売事業者の株式会社魚力や、塚田農場などの飲食店を全国177店舗で展開する株式会社エー・ピーカンパニーを紹介してくれた。

6次産業化のカギを握る、深浦マグロ加工センターの建設

05ブロック_DSC_3216_R.jpg20 ~30代の若い漁師が多い株式会社ホリエイの漁業部門のスタッフ。19トンの定置網船2艘に、20名の漁師が乗り込み漁を行っている。 エー・ピーカンパニーは、あおもり海山に2千万円の出資を行い、販売先としても関わっている。社長の米山さんは、「地域とのつながりというのは1年や2年で出来るものではありません。今回の投資は15年というスパンになりますが、私たちとしては、半永久的に一緒にやっていきましょうというパートナーシップの姿勢でもあります」と話す。エー・ピーカンパニーが展開する一部の居酒屋では、すでに、あおもり海山から仕入れた船上活〆の深浦本マグロの刺身が期間限定商品として提供されており、その評判は上々のようだ。

 建設予定のマグロ加工センターには、マグロを熟成させるための保管庫や、約30トンの柵を冷凍保存できる超低温冷凍庫などの設備を導入。本マグロの柵以外に、頬肉、頭、内臓、骨、皮などすべての部位を加工する。エー・ピーカンパニーの流通本部長の吉野さんは、「マグロの最適な加工ができる工場ができるのはすごく面白いことです。弊社の料理長も青森に行って、県の研究所の方と、どうやって加工したら美味しく食べれるか研究を始めています。ブランドイメージを出していきながら、商品としても、これまでにないものを首都圏のお客様に提供していけると思います」と声を弾ませている。

サポーター

〜ここで働く仲間、外部でサポートしてくれる仲間がいて成り立っている〜

あおもり海山をサポート

株式会社エー・ピーカンパニー
代表取締役社長 米山久さん(44)

1次に投資することによって、2次3次で売りやすくなっている。
そして、生産者との間に一緒に売っている感覚が芽生えてくる。

サポーター01_DSC01071_R.JPGサポーター01_DSC01071_R.JPG「全国の埋もれている商材を発掘して、我々の手でブランド化して世の中に発信していき、1次産業と地域の活性化を目指していけたらと考えています」と話す米山さん。 あおもり海山に2千万円の出資を行い、販売先としても関わっているエー・ピーカンパニー。社長の米山さんは、「私たちにとっての投資は、ブランド化して売っていくためには何をすべきか、一緒に考え取り組んでいくことになります」と話す。今年の夏は、エー・ピーカンパニーが展開する居酒屋で、あおもり海山から仕入れた深浦マグロの刺身が、期間限定で780円で提供された。この価格設定について、「生産者からは生産者が喜ぶ値段で仕入れ、エンドユーザーには求めやすい価格で提供する。エー・ピーカンパニーにとっては正直、利益が出ない設定ですが、この価格だからお客様に響くんです。まずは『深浦マグロ』というブランドを知ってもらうことが大切で、マグロ加工センターが完成して、2次加工が始まってからが勝負となります。企業努力をもって差別化を図り、他の店ではなかなか提供できないような部位も商品開発できたら利益につながっていくと思います」と話す。

 また、エー・ピーカンパニーでは、生産者とエー・ピーカンパニーの従業員、店舗のアルバイトスタッフだけが見ることができるSNSを構築。アルバイトスタッフはシフトに入るまでに、SNSにアップされた生産者の写真付きの情報を見て、接客の現場でこれを活用する。米山さんは、「1次産業の生産者が、どのような想いをもって食材を提供してくれているかを、2次産業や3次産業に関わる人たちが知ることは大切なこと。お皿にのるまでのストーリーを伝えることは、付加価値を高めた情報提供になり、ブランド化にもつながります」と話す。
株式会社エー・ピーカンパニー
http://www.apcompany.jp/

株式会社エー・ピーカンパニー
常務取締役 流通本部長 吉野勝己さん(40)

問題意識を持っている会社だったからこそ、
パートナーシップを組みやすかった

サポーター02_DSC01065_R.JPGサポーター02_DSC01065_R.JPGあおもり海山の窓口を担当。「ダイレクトなパートナーシップを結び、それぞれの役割を果たし、一緒に取り組んでいくことが6次産業化だと思います。餅は餅屋ですね」と話す吉野さん。 一方、エー・ピーカンパニーは、生産者に対しても客の情報を伝えていく。流通本部長の吉野さんは、「常にお客様の反応を見ながら、生産者と一緒に継続的に必要とされる商材を作っていきます。生産者の状況、消費者の反応といったものを相互にフィードバックできる。これは、コストや品質と同じくらいの価値を生みます。6次産業化のメリットなんじゃないでしょうか」と話す。SNSだけにとどまらず、実際の現場を相互に見に行くという取組も積極的に行っており、あおもり海山のスタッフやホリエイの漁師は、自分たちが釣った本マグロが、どのように消費者に提供されているのかを目の当たりにすることにより、仕事に対するモチベーションに変化が表れているそうだ。

 エー・ピーカンパニーが、あおもり海山への出資を決めた理由について、吉野さんは、「まず、どれだけの問題意識を持っているか、が重要でした。地域のこと、漁師の魚価収入のこと、自分たちのブランド意識についてなど、そういった課題を何とかしたいと思っている農林漁業者と、我々はパートナーシップを組みやすいと考えています」と話す。続けて、「ホリエイとあおもり海山の6次産業化の場合、漁業で地域の若者が働ける環境を用意していて、行政もバックアップをしていました。我々が得意なブランド化や販路開拓も、そこにうまく噛みあうのではと感じました。マグロは売りやすい食材ではありますが、もしこれがイワシであっても、僕らは手を組んでいたかもしれない。それだけ、あおもり海山の取組姿勢はよかったです」と、評価の理由も話してくれた。

あおもり海山 商品Data

001 深浦マグロの柵
水産卸・小売事業を展開する魚力45店舗の「深浦フェア」で販売された深浦マグロ。ホリエイで船上処理された本マグロは、「船上活〆」のタグが付き、市場やパートナー企業に向け出荷。魚力の担当者が深浦町まで来て漁業の現場を見て、フェア開催を決めたそうだ。深浦マグロの知名度は徐々にあがってきており、全国漁業協同組合連合会がインターネット上で展開している「漁師が選んだ、本当に美味しい魚 プライドフィッシュ」プロジェクトには、青森県の夏のプライドフィッシュとして、深浦マグロが紹介されている。

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002 深浦マグロの刺身
エー・ピーカンパニーが展開する居酒屋のうち首都圏の14店舗で、夏の期間限定で提供されていた「深浦マグロの刺身」(780円)。各店舗のスタッフは、関係者専用のSNSで生産者のリアルな情報を知り、付加価値を高めた情報をエンドユーザーに提供している。

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