ファンド出資先の取組事例

メイン_2974.jpgおおのミルク工房

 01おおのミルク工房

main_DSC_3163_R.jpgあおもり海山

 02あおもり海山

メイン写真.jpgJ−ACEひびき

 03J−ACE ひびき

main_620C9968.JPGアグリゲート東北

 04アグリゲート東北

620C1925.JPGひこま豚

 05ひこま豚



株式会社おおのミルク工房

ジャンル:酪農  Dairy
岩手県九戸郡洋野町 Hirono-cho Kunohe-gun Iwate

メイン_2974.jpgスクリーンショット(2012-09-26 17.02.46).png

構えることなく柔軟に考える
相談することで展望が見えてくるファンド活用

本州でも有数の酪農地帯として知られる岩手県北部にある「おおのミルク工房」は、経営困難に陥った乳製品加工施設を存続させるため、地元の酪農家などが出資して平成17年に設立。味と品質にこだわった乳製品を地元を中心に販路を拡大、7年目から黒字経営に転換した。そして再出発から10年目を迎えた平成26年(2014年)、今後の展開には、さらなる新商品の開発、それに伴う設備投資が必要と判断。「とうほくのみらい応援ファンド(※)」から1300万円の出資を受け、事業規模の拡大を図っていく。取締役企画部長の浅水巧美さんは、「ファンドを活用してやっていけば、やりたいことに近づける、将来が見えてくると感じています。」とファンド活用への期待を寄せている。
(2014年6月6日 取材・撮影/RPI)

【会社概要】
株式会社おおのミルク工房(2014年4月~株式会社へ改組)
設立:平成17年1月5日(同年5月15日に操業開始)
所在地:岩手県九戸郡洋野町大野58-12-32
資本金:1,300万円  従業員数:15名(2014年6月6日時点)
代表取締役:田村英寛(平成17年1月~平成24年8月)
      塩倉康美(平成24年8月~)
主要取引先:株式会社日本アクセス(29%)、久慈市と洋野町の学校給食(17%)、株式会社岩手雪販(11%)

株式会社おおのミルク工房
http://www.yumemilk.com/

※「とうほくのみらい応援ファンド」
農林漁業者に対する高度な支援ノウハウを有する機構が出資したもので、平成25年(2013年)6月に設立。地域産業の6次産業化推進を図っていくため、生産から加工、流通、販売までを総合的かつ有機的に結び付けるネットワーク構築をサポートしている。出資者は、㈱みちのく銀行、㈱荘内銀行、㈱東北銀行、㈱北都銀行、㈱みずほ銀行、㈱農林漁業成長産業化支援機構、みずほキャピタル㈱。

インタビュー

酪農家をはじめ地元の支援を受け、
再出発を図ったミルクプラント

01_放牧風景.JPG広大な土地を活かし、戦後まもなく酪農が導入され、最盛期の昭和40年代には、洋野町(旧大野村)の酪農家の数は250軒を超えていた。(平成20年度時点で44軒) おおのミルク工房がある洋野町は、平成13年(2006年)に大野村と隣町であった種市町との合併により新しく生まれた町。おおのミルク工房は旧大野村に位置し、村おこしのシンボル的な場所である「おおのキャンパス」の一角に建っている。設備が完成したのは平成5年(1993年)。酪農経営の安定を目指すため、農協が中心となり、国と県の補助事業を導入して建てられた乳製品加工施設だった。販路は首都圏を中心に開拓していくが、販売量を達成できず平成13年(2001年)に一時休止。翌年、関西圏に新たな販路を開拓して再開するも流通コストの増大により赤字を抱えてしまい、平成16年(2004年)に二度目の休止に追い込まれてしまう。

 乳製品加工施設として活かしていく方向を模索する中、自らも大型の酪農経営を営む田村英寛さん(初代社長)が中心となり、「酪農の里のシンボルをなくしたくない」など再開に賛同した酪農家16名をはじめ、地元商店主や連携事業者など24名が出資して法人を設立。農協から既存の工房施設を借りて、牛乳や乳製品の開発・製造・販売に取り組んでいくことになった。

味と品質にこだわった逸品で
地元住民の支持を集め、黒字経営に転換

02_IMG_3647.JPGおおのミルク工房に生乳を出荷している酪農家の中の1軒「間澤牧場」。平成19年(2007年)岩手県内では初となるHACCP認証畜産農場となった。 再出発というカタチで操業をスタートさせた「おおのミルク工房」は、異なる方法で加熱殺菌処理をした6種類の牛乳を600人以上の人に試飲してもらい、6割以上の人々から支持を得た「85度20分間殺菌」という製法を確立。一般的な超高温瞬間殺菌に比べ手間はかかるが、この製法により、酪農家が搾りたての生乳を弱火で沸かして自宅で飲んでいる、牛乳本来のコクと旨味を引き出すことに成功した。関係者の熱意に共感して、おおのミルク工房に入社したベテランの工房長・小野協次さん(専務取締役)も「酪農王国・岩手の中でもトップレベルの生乳を使った、コクのある飲みやすい牛乳」と、味と品質へのこだわりを自負する。

 新しい牛乳は「ゆめ牛乳」と名付けれられ、商品のPRには酪農家も積極的に参加した。スーパー店頭での試飲会やイベントへの出店など地道な営業努力が実を結び、販売ルートは、道の駅や岩手県・青森県の小売店やスーパーをはじめ、ホテル、老人ホーム、そして、宅配や学校給食など地元を中心に拡大。売上は、ここ3年間連続黒字で、平成25年度の売上は予想を上回り3億7千万円まで伸びた。

原料確保や小回りのきく製造体制は、
小さな工房ならではの強み

03_DSC_2892.jpg「15人の従業員それぞれが大きな役割を担っています」と話す、おおのミルク工房2代目社長の塩倉康美さん(48)。酪農家で出資者の一人でもある。 現在、おおのミルク工房での一日の生乳処理量は5~7トン。この生乳を原料に、主力商品の「ゆめ牛乳」のほか、ヨーグルト、アイスクリーム、ミルクプリン、ゼリー、そして業務用ソフトクリームミックスなどの製造・販売を行っている。また、地域特産物を活用したOEM乳製品開発の支援にも取り組んでいる。

 「小さな工房ならではの強みがあると思います」と話すのは、社長の塩倉康美さん。「法人設立の背景からもわかる通り、おおのミルク工房は、地元酪農家と強い信頼関係があり、安定した原料の確保ができます。2011年の東日本大震災では、大手メーカーが出荷できない状況に陥る中、私たちは震災の影響は受けながらも、酪農家の協力のおかげで、なんとか製造できる状態で、このことは知名度をあげる大きな要因になりました。また、小ロットでの商品開発や、短い納期にも対応できる柔軟な営業スタイルも私たちの強みです。おおのミルク工房という名前は表に出ていませんが、岩手県野田村でヒットしている塩ソフトクリームなど、ご当地ソフトクリームの商品開発のお手伝いもさせていただいています」と話す。

六次産業化・地産地消法に基づく総合化事業計画の認定が
ファンドの存在を知るキッカケに

04_DSC02475.JPG農協が運営していた頃から工房に関わっていた浅水巧美さん(45)は、法人設立と同時に意を決し、おおのミルク工房へ転職した。 法人設立から10年。節目となる平成26年(2014年)に、おおのミルク工房は、「とうほくのみらい応援ファンド(※)」に支援を求め、1300万円の出資を受けることになった。その経緯について、取締役企画部長の浅水巧美さんは、「今後のビジョンを明確にしていくため、六次産業化・地産地消法に基づく総合化事業計画に申請し認定を受けたところ、ファンドの存在を知りました。地元の商工会議所や銀行が窓口となり、ディスカッションを重ねているうちに、ファンドを活用してやっていけば、やりたいことに近づける、将来が見えてくると感じました」と話す。

 おおのミルク工房の今後の事業展開について浅水さんは、「牛乳の消費が年々下がっていく中、事業の安定・拡大を図るためには、新商品の開発、新たな生産体制の整備、品質管理の強化、販路開拓に取り組む必要があります。弊社では牛乳を基本にした新商品『飲むタイプのヨーグルト』と『ご当地ソフトクリーム』の開発をさらに進めていきます」と話す。また、学校給食の管理栄養士と共同で機能性ヨーグルトの開発や、シニア野菜ソムリエと地場野菜を使ったヨーグルトの共同開発も予定している。商品アイテム数の増加は生乳利用の拡大に直結、地元酪農家の所得向上にもつながっていく。5箇年計画で、おおのミルク工房は売上4億円弱を見込んでいる。

サポーター

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〜ここで働く仲間、外部でサポートしてくれる仲間がいて成り立っている〜

おおのミルク工房サポーター1

社団法人 おおのふるさと公社
事務局次長 畑林忠志さん

再出発したおおのミルク工房の最初の販売先

サポーター02__DSC_2837_R.jpgゆめ牛乳を毎日飲んでいるという畑林さん(45)。おおのキャンパス内の道の駅売店で販売されているゆめ牛乳は、お客様から「濃厚で美味しい牛乳」という評価をもらっているそうだ。 大野ふるさと公社は、旧大野村の村おこしのシンボル的な施設「おおのキャンパス」を運営。総面積約27ヘクタールという広大な敷地を擁するおおのキャンパスには、全国的にも知名度が高い大野木工をはじめとした工芸品を展示するデザインセンターを中核施設に、体験研修施設や天文台、宿泊棟、本州最大規模の広さを誇るパークゴルフ場や、道の駅としての機能も備わっている。

 おおのミルク工房が再出発したばかりの頃、「ゆめ牛乳」「ゆめヨーグルト」の販路開拓がままならず、最初に商品を置いてくれたのがおおのキャンパスで、発売前から、宿泊棟を試飲会の場所として提供してくれるなど、バックアップをしてくれていたそうだ。
 地元資源を活かした“一人一芸の里づくり”に取り組むおおのキャンパスの一角に、おおのミルク工房の施設はあり、おおのキャンパスが企画している農家民泊プログラムとも連携。「酪農家さんのお仕事の現場や、おおのミルク工房の牛乳製造見学は子供たちにも人気です」と、事務局次長の畑林さんが話してくれた。

おおのミルク工房サポーター2

社団法人 おおのふるさと公社
事務局長 林下千一郎さん

収益性のある新商品を開発して成功してほしい

サポーター01_DSC_2848_R.jpgおおのミルク工房の浅水さんとは忌憚なく意見交換をできる関係という、大野ふるさと公社の事務局長の林下千一郎さん(60)。「ゆめ牛乳やゆめヨーグルトは地元のものですから、当然のように応援したい気持ちがありましたよ」と話す、大野ふるさと公社の事務局長の林下さん。おおのミルク工房の販路開拓のトップバッターとして名乗り出てくれた林下さんを、おおのミルク工房の浅水さんは、“恩人”と話す。おおのキャンパス内にある直売所やレストランなどで、おおのミルク工房の牛乳やヨーグルトが取り扱われるようになり、従業員も実際に試飲・試食をして商品を説明してくれていた。おおのミルク工房の浅水さんは、「おおのキャンパスが起点となって、まるで波紋が広がっていくように商品が認知されていきました。」と、当時を振り返る。

 また、林下さんは、おおのキャンパス内の施設で製造していたアイスクリームも、おおのミルク工房に製造を委託した。その理由について林下さんは、「施設内の設備に限界があったし、せっかく地元でアイスクリームを作れるところがあるのなら、そこにお願いした方がいいと思いましたから」と話す。設立当初から、おおのミルク工房の成長を見守ってきた林下さんだが、今後については、「牛乳だけでは、なかなか収益性があがりにくいと思うので、今、商品開発をされている『飲むタイプのヨーグルト』を強く押し出していき、成功してほしいですね」と、期待を込めた意見をいただいた。

おおのミルク工房 商品Data

001 ゆめ牛乳
サイズは3種類(1000ml、500ml、200ml)。酪農家が絞りたてをお鍋でコトコト沸かして飲む牛乳の風味を再現した牛乳。生乳の成分をできるだけ傷付けないよう85度20分間殺菌(保持式殺菌生乳)という製法で製造。平日は宅配も行っており、学校給食も含め、地元の人たちへの浸透が深い。

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002 ゆめヨーグルト
生乳の良さ、美味しさを伝えていく商品として、ゆめ牛乳についで開発された商品。85度20分間殺菌(保持式殺菌生乳)した生乳を約95%使用。グラニュー糖、オリゴ糖、乳酸菌以外はほとんど加えておらず、口当たりが非常にやわらかく、ほんのり効いた甘味と酸味が特徴。脱脂粉乳、安定剤、増剤は不使用。

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003 ソフトヨーグルト
右(大)550ml、左(小)150ml
「ゆめヨーグルト」と味は同じ。生乳・乳酸菌・砂糖・水飴(オリゴ糖)で作られたヨーグルトで、数種類の乳酸菌を使用。甘さと酸味を抑えたまろやかな口あたりが特徴となっている。スタンドタイプのパッケージで、スプーンいらずで手軽に食べやすい。

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004 ゆめミルクプリン
生洋菓子商品第1弾として開発。新鮮で良質な生乳を約75%使用して丁寧に仕上げられたプリン。生乳の風味と植物性クリームのバランスが絶妙。濃厚なミルク味を楽しめる。ゆめ牛乳やゆめヨーグルトで使用している牛の絵は使わず、新しいブランドを意識したパッケージでチーズプリンとともに展開。

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005 チーズプリン
“牛乳を基本に手軽に食べられるおやつを”をコンセプトに開発された濃厚なチーズプリン。生洋菓子商品の第2弾で2014年3月より発売。できるだけミルクの味を前面に出せるよう新鮮で良質な生乳が約75%使用されている。

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006 おおのミルク村 アイス南部せんべい「ゆめアイスサンド」
お鍋でコトコト沸かしたような自然なおいしさの牛乳で作った、酪農家が自宅で飲む贅沢な味をアイスクリームに仕立てた商品。岩手県産南部小麦粉100%でできた志賀煎餅の「うす焼き白せんべい」でサンド。地域特産物を活用したOEM乳製品開発商品のひとつ。

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